2018年04月19日

PS『DARKSEED(ダークシード)』

1995年10月27日発売/ギャガ・コミュニケーションズ/5,800円(別)/ADV/1人用/4ブロック
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<ゲーム内容>
 主人公のマイク・ドーソンを指示カーソルで動かし、3日間の内に頭痛の原因と謎を解いていくクリック探索型アドベンチャーゲーム。ノーヒントで、リアルタイムな為、謎解きが進めず、難易度がかなり高くなっている(ただし、説明書の最後に完全攻略法が掲載されている。)ダークワールドに相応しいグロテスクなキャラクターは、「エイリアン」や「スピーシーズ 種の起源」などで有名なH.R.ギーガーが担当している。

<操作方法>
 方向キー・・・指示カーソル移動キー
 SELECTボタン・・・時間飛ばし
 STARTボタン・・・ゲームスタート
 ○ボタン・・・カーソル切り替え
 ×ボタン・・・決定入力ボタン

<STORY>
私は、マイク・ドーソン。
会社の名義の3分の1を持っているだけではなく、会社の取締役会の会長でもあった。
その地位は、そのまま権力と金につながっている。

しかし、私には物を書きたいという、強い衝動があった。
そして、そのためには、自分の考えをまとめ、とらえどころのないインスピレーションを形にする、静かな場所が必要だった。

ある朝、目にした新聞広告がすべての問題をクリアしてくれた。
カリフォルニア州ウッドランドヒルの、広く設備も整ったビクトリア朝建築の家である。
オーナーは売りたがっている。
騒音もない、競争もない、しかも二束三文の値段である。
おそらくこの価格では利益はないのではないだろうか。
いずれにしろ『安値』は二の次だった。小説の執筆には理想的な環境だと思った。

後日、出張のついでに、ウッドランドヒル郊外まで足を伸ばした。

つまらないトラブルのせいで飛行機が遅れ、その家に着くころには、もう日も暮れて、私にはざっと見る時間しかなかった。
夜に見たこの家は、非常に大きく、静かだった。それさえわかれば充分だった。
私は、すぐにこの家を買おうと思いながら旅を続けた。
不動産屋のビバリーが電話してきた時には、もう私はこの家を買うつもりになっていた。
しかも、1週間以内に引っ越してくれるなら、売主が引っ越し料を支払うという。
彼女は、設備や電話も使えるようにしておくと言った。
この申し出は条件が良すぎる。
私はすこし考えた。不動産屋が熱心すぎるように見えたのだ。
私は、前のオーナーがなぜこの家を売りたいのかとたずねた。
長い沈黙があり、その間彼女の息づかいだけが不気味に聞こえた。
それから、彼女はあいまいな言い訳をした。「彼には家族の都合があったのです」
そしてビバリーは、この家が、こんなに古い造りのわりには綺麗に修理されていることをしきりに説明した。
私は、もう少し詮索したかったが、あの家は素晴らしい環境にあり、それだけで充分だとも思えた。

私は、急いで抱えている仕事に決着をつけ、共同経営者たちに私の考えを打ち明けた。
いやいやながら彼らは一年の休暇を承知し、私は、彼らの法外な給料をさらに値上げして彼らをなだめた。

数点の身の回り品とお気に入りの家具は、運送屋にまとめて送ってもらうことにした。
私が到着する日に、新居に配達されるだろう。

ウッドランドヒルへ行く準備は整った。
あの小さな空港から、タクシーを呼んだ。

「ベンチュラ通りの古いビクトリア朝の家まで。」と伝えると、運転手はあからさまな動揺をみせた。彼は怖がっていた。

どうしたのかと聞いたが、彼は「ただの偏頭痛です」と感情のない声で言っただけだった。
町の人たちはもっと普通に応対してくれるだろう。多分。

しかし、そうではなかった。

ウッドランドヒルの狭い道を走っている間中、私は、道を歩く人々の凝視や、こちらをうかがう疑い深い表情にさらされた。
・・・奇妙な町だ。

私の買った家が、町はずれにあるのは幸いだった。
私は、運転手に、もっと速く、とせかして、町を走り抜けた。

残念なことに、私の新居は思っていたほど町から離れてはいなかった。
しかし、この新居は木々に囲まれていて、プライバシーが保たれている。
昼間のこの家を初めて見て、私は周りのものに対する不審が、ささいなことに思えた。
この家は、ぽつんと建っていて周囲と釣り合わないというよりも、ほとんど相いれないようにさえ見えた。
家の周囲には、絵画のように家を縁取る沈黙のベールのような不吉な空間が見えるようだった。

手を入れて修繕はしてあるのだが、何十年もだれも住んでいないように見える。
しかし、私はその大きさに感心し、アンティークなたたずまいに感動した。

私は、信じられないほど簡単な、たった一晩の取引でこの家を買った(私はそれについて彼女にありがとうを言うつもりだった)。
私は、タクシーの運転手に料金を払い、入口の階段を昇った。
大きなオーク製の両開きのドアが、簡単に開き、広い玄関のホールに出た。
玄関からのドアの1つが、飾り立てた居間に通じていた。

数々のアンティーク家具や装飾品の中に、気味の悪い肖像画があった。
それは怖ろしいほど美しい、若い女性の絵だった。
この世の物とは思われない不思議な美しさであった。
暗い色調とぼんやりした背景が、刺すような目を持った青白い顔を引き立てていた。
この絵の女性は、だれなのだろう。

ふいに私に、波動が襲ってきた。
その瞬間、この、だれもいないはずの家に、人の住んでいるような気配を感じて驚いた。
それは波動ではなく、音だった。
どこかで、だれかが、壊れた犬笛を吹いているような、ほとんど感知できないほどに高い、すすり泣くような音。
それは、聞こえると言うよりも、私の頭の中から発する、ブーンという振動のようだった。
私の目はどんよりし、口はだらしなく垂れていた。

疲れた・・・。
単に疲れただけでない。突然痺れが襲ってきたようだ。
まぶたはサンドバッグのように重く、舌は綿のようだ。
どこかに寝室があるにちがいない。手探りで階段を探しながら、不動産屋を待とうかと考えた。
彼女の名前は何といっただろう?

居眠りをした。
彼女の名前は?彼女には名前がなかった。私が聞かなかった。いや、私は聞いた。
思い出せないだけだ。
変だ・・・。
彼女が来たら、名前を聞こう。今はとにかく眠ろう。ベッドを見つけなければ。私の荷物はどこだ?
運送屋はどこに入れた?運送屋は来なかった。それも不動産屋に言わなければ。

いくつか部屋を回ってようやく、ベッドルームを見つけた。
私はくずれ落ちるようにして頭からベッドに倒れ込んだ。
しかし、不動産屋が来たら、忘れずにすぐ起きなければならない。
が、それまでの、ちょっとの間だけ寝ていよう。

すすり泣くような音が突然大きくなり、まるで、うなり声のように聞こえる。
それは、ガランガランという物凄い音と、私の脳に直接落ちてくる滝のような音が合わさった、不快なノイズだ。
眠り。
だれかの、聞いたことのない声が、私の頭の中で眠れと囁く。
眠れ、眠れ、眠れ・・・・・・。



【中身】
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